左肩関節可動域制限および左前腕感覚障害の後遺障害で賠償金400万円で訴訟上の和解が成立した事例

事案の概要

 

スノーボード遊興中に転倒し、骨頭転位を伴わない左上腕骨大結節骨折および頸部骨折を負った患者に対して、連続的透視をしないままに無麻酔にて徒手整復操作したところ、整復は果たされず、かえって著明な骨頭転位を伴う状態に増悪しました。その後、観血的整復等の加療をしたものの、左肩関節可動域制限および左前腕感覚障害の後遺障害が残存し、将来、人工関節置換術を要する可能性の高い状態に陥った事案です。

 

弁護士の方針・対応

 

まず、任意開示によって医療記録を入手しました。これを基に医学的見地および法的見地から調査した結果、相手方病院の対応には過失があるものと判断しました。
訴訟の中では、相手方医師が、@感覚的(触覚的)に、かつ、透視装置を用いて視覚的に、抵抗の有無を入念に確認しながら、緩徐に徒手整復を試行するべき注意義務、A徒手整復試行中に抵抗を覚知した時点で、麻酔下徒手整復または観血的整復に移行するべき注意義務を負っていたこと、B仮に、各義務のいずれかが履行されていれば、患者に後遺障害が残存することはなかったことを主張しました。

 

結果

 

訴訟では医師の手技上の過失が争われました。相手方代理人も実力がある弁護士であったため、予想はしていたものも、相当に労力を要する訴訟となりました。
しかし、本件が、治療を目的とした医療行為が、新たな疾患を引き起こした医原性の損傷であること、損害自体が大きかったことを強調したことが功を奏し、訴訟提起から2年3ヶ月を経て、賠償金400万円で訴訟上の和解が成立しました。

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