分娩時に必要な急速遂娩を選択せず経膣分娩後に脳性麻痺が残ってしまった事案で1億1200万円で和解が成立した事例

事案の概要

 

初産で子宮収縮薬を用いない経膣分娩の際に、胎児心拍数陣痛図(CTG)上、約1時間30分にわたって波形レベル4〜5が継続したにもかかわらず、医師が急速遂娩が行いませんでした。また、分娩の際、医師が不在であり、また、ガイドライン上推奨されいることが複数行われておらず、病院の態勢も不十分なまま、対処されました。その結果、帝王切開せずに分娩に至りましたが、娩出された子に脳性麻痺の後遺症が残ってしまったことを受けて、弊所にご相談くださいました。

 

弁護士の方針・対応

 

任意開示により医療記録を入手し、調査した結果、担当弁護士が、病院側の有責であるという心証に至ったため、訴外で交渉を行いましたが、被告から過失がないため賠償しない旨の回答があったことから、すぐに提訴しました。
裁判では、相手方は、肩甲難産であったことを理由に、吸引分娩による急速遂娩を行っていたとしても、児の状態は変わらず、帝王切開をしても死産の可能性があった等と主張してきましましたが、その後、15回の期日を重ね、71頁の主張書面と40件以上の証拠を提出するなど、詳細な主張立証を組み立て、患者側実質的勝訴の和解に至りました。

 

結果

 

訴訟の結果、被告が原告らに1億1200万円(うち1200万円は産科医療補償制度により補填)を支払うことを骨子とする和解が成立しました。
なお、判決ではなく和解を選択したのは、裁判所が過失と因果関係について明確な心証開示を行わず、判決においてひっくり返されるおそれもあったため、依頼者と協議の上和解を選択しました。

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