大動脈解離スタンフォードA型の早期治療開始について、弁護士が医学的文献の裏付けをもって主張し、総額約1800万円で勝訴的和解が成立した事例

事案の概要

 

患者さん(80代・女性・埼玉県在住)は、受診した病院で胸腹部CT検査の結果、大動脈解離スタンフォードA型であることがわかりました。

 

ところが、医師は大動脈解離の治療よりも感染症(膀胱炎)の治療を優先させる方針としました。

 

数日後、患者さんは、細菌感染疑いの精査目的にて入院となりましたが、やはり感染症治療を優先され、大動脈解離の治療は行われませんでした。

 

結果、患者さんは解離していた大動脈が裂け亡くなりました。

 

弁護士の方針・対応

 

大動脈解離スタンフォードA型は、心臓に近い上行大動脈に発生するため、非常に重篤な状態とされ、緊急治療が必要とされています。

 

弁護士は医療調査の結果、医療機関の過失は明らかであると判断し、裁判所に訴えを提起しました。

 

医療機関側は、過失を認めたものの、死亡を避けられたかは分からないと主張し、早期に治療を開始していれば、死亡が避けられたか否かが争点となりました。

 

結果

 

一般論として、大動脈解離スタンフォードA型は、1か月以内に83%が死亡するとされ、予後は悪く因果関係は認められないとされていますが、弁護士は、破裂した前後、手術前後で予後が異なることを分析し、破裂前の手術が間に合う場合の予後を主張・立証することで、スタンフォードA型であっても、早期に治療を開始していれば予後は悪くないことを医学的文献の裏付けをもって主張し、最終的には、総額約1800万円の勝訴的和解が成立しました。

 

また、和解の内容として、医療機関が実施すべき再発防止の具体策が盛り込まれたことも依頼者の満足につながりました。

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