・骨粗鬆症を基礎として高齢者に好発
→骨再生能力は低下している
・高齢者の転倒→低エネルギー外傷
・最も癒合しにくい骨折のひとつ
・間接内骨折のため腫脹・皮下出血は少ない
〔Gardenのstage分類〕
stageT 不完全骨折
内側で骨性連続は残存
stageU 完全嵌合骨折
軟部組織の連続性は残存
stageV 完全骨折
Weitbrechtの支帯の連続性は残存
stageW 完全骨折
全ての軟部組織の連続性なし
−治療の目標−
高齢者の場合、 既に種々の全身的な合併症を有している場合が多い(例:中枢神経系、呼吸・循環器系、消化器系、尿路系など)。
→したがって、これらの合併症の発生・憎悪を防止して1日も早く受傷前の生活に戻す。
・70歳くらいまで→できるだけ骨折合術
・それ以上の年齢で、stageV、W
→人工骨頭置換術の選択が多い
〔手術の要件〕
−小野啓郎監訳「図解 骨折治療の進め方(第3版)」医学書院、294頁−
@執刀医と麻酔医がこの分野に熟達していること
A全身麻酔より局所麻酔(脊椎/硬膜外)のほうがよい
B一般的に腹臥位での後方侵入は避けるべき
C最低24時間の予防的抗菌薬投与が望ましい
D必要に応じて静脈血栓の予防処置をとる
〔術後管理〕
−前掲書294頁−
@術後6時間で、低酸素血症があれば改善するまで酸素吸入
A輸液を継続。電解質異常・貧血があれば改善
B拘束性呼吸障害があれば、理学療法
Cその他
〔術前合併症〕
・94%が術前合併症(特に、心疾患、高血圧)
〔術後合併症〕
・呼吸器疾患が最も多い。その次は消化器疾患
・呼吸器疾患、腎・尿路系疾患の合併症による死亡率が高い
・死亡原因→肺炎、心不全が多い
−参考文献−
冨士武史編「整形外科 治療と手術の合併症」金原出版、315頁以下